クルマ以外の趣味はカメラ、オーディオ、柴犬の飼育ほか。AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。, 【独自調査】乗る前と乗った後で「思っていた以上に小回りが利く」「思っていた以上に風に弱い」などと実感している人が多数という結果に。, https://car-mo.jp/mag/wp-content/uploads/2020/10/15_-TVCM_1.mp4. 燃費を改善させるには 急激な燃費の悪化はトラブルが原因となっていることが大半です。 トラブルを起こさないためには、日頃からのメンテナンスや点検が重要になってきます。オイル交換や空気圧チェックなどを定期的に行うことで、トラブルを未然に防ぐことができます。 その細やかな観察眼では業界一、二を争うモータージャーナリストの島崎七生人さんが、話題のニューモデルの気になるポイントについて、深く、細かくインタビューする新企画。第二回はようやく発売となった新型ホンダフィットです。ハイブリッドは誰が運転しても燃費があまり低下しないと謳うにもかかわらず、開発担当者から燃費運転のコツを聞き出した島崎さんがフィットの実燃費を試します。, 新型フィットのプロトタイプに最初に試乗したのは昨年9月のこと。場所は北海道・鷹栖のホンダのテストコースだったが、実はここだけの話、第一印象はスタイルも走りもあまりピンと来ていなかった。, 夜の食事のテーブルでは開発責任者・田中健樹さんの隣で話も聞いたが、「大正末期の民藝運動から生まれた“用の美”をヒントに、機能に優れた心地よさを極めて人の心を満たす美しさをも宿した世界で唯一のコンパクトカーにした」と言われても、引用が高尚で、「そうですかぁ」と相づちは虚ろだったかもしれない。「“千利休の茶室”の話を聞いたのも、確か以前、どれかのホンダ車の開発責任者からだったよなぁ」とも思いが過った。, けれど今年2月のプレス向け公道試乗会を経て、つい先ごろ、個別に広報車貸し出しの申し込みをし、ロケとリアルな生活スタイルの中で、自分のペース、使い方で改めて試乗し直した。, すると、ジワジワと“来た”のだった。歴代フィットで初めて「快適でいいかも知れない」とも感じたのである。特に乗用車らしい、サスペンションストロークをたっぷりと使った穏やかな乗り味は、北海道のプロトタイプ試乗の時から薄々と「シトロエンっぽい」と感じていたのだが、直近の公道試乗でその思いはいっそう強まった。, そうなると、“親しみが持て安心感もある日本の柴犬イメージという外観デザイン”を始め、サッパリ、スッキリとした内装、ややこしくなく素直に使いやすい操作系(スタートボタンと線対称の場所にある照度調節スイッチはプライオリティが高すぎかも)、無条件で空間が広くシートの座り心地もいい後席など、すべてに好感が持ててきた。, 一方で“燃費”も注目しない訳にはいかない。今回の新型フィットでは、ハイブリッドシステムをこれまでの1モーター+7速デュアルクラッチトランスミッション“i-DCD”から、“e:HEV”と呼ぶ2モーター内蔵電気式CVTに変更。システムの基本はインサイトなどの“i-MMD”と共通だが、モーターを小型化するなどしてフィットに載せている。, 走行用モーターを先代の22kW/160Nmから80kW/253Nmへと大幅に強化、EVドライブモードでの走行頻度を拡大させることで実用燃費も向上を図った。3つのドライブモード(EV/ハイブリッド/エンジン)の最適な切り替えを実行しながら低燃費な走りを実現したという。, ちなみに「誰でも実用燃費の低下が生じにくいシステムとした」(ホンダ)のも新しいe:HEVのポイント。ホンダ関係者は「新型フィットは決して数字だけを追った開発はしなかった」といい、もちろんそれはトヨタ・新型ヤリスを念頭に入れた言葉だが、いずれにしてもユーザーベネフィットを第一義にしている。, ならば新型フィットの実燃費を確かめてみよう……ということになった。今回はせっかくなので、エコランではないが“上手な運転”でどこまでの燃費が伸びるか試すことにし、事前にe:HEV開発担当の方から直々に運転のコツをレクチャーしていただいた。, その内容は、急のつく運転をしないこと、POWER ON後は最小限のアイドリングを心掛けること……といった一般的なこと(エアコンは可能な状態ならOFFにとあったので今回はそうした)のほか、一般道ではEVドライブモードをなるべく維持できるようアクセル操作に留意(踏み込み過ぎたりしない)、ハイブリッドモード時は加速を短めに終わらせEVドライブモードに復帰させる、ブレーキは強めに踏むと熱エネルギーに逃げて回生量が減るので早めにアクセルを戻し減速を心掛けるなど。, 他方で高速走行時(エンジンドライブモードが主体。パワーフローメーターに小さなギヤマークが現れる)では、バッテリーメーターで充電量が70%以上(表示で7メモリ)であればアクセルペダルを短く戻せばEVドライブモードに切り替わるため、この方法を活用すれば高速走行時の燃費向上につながるという。これはいわばe:HEVドライブの“裏技”だ。, で、前述のようなご担当者様直伝(!)のコツを念頭に、高速道路は法定速度以内でなるべく一定で巡航、エアコンこそ未使用だったが、3泊4日の借用期間中、2つのロケを各1日ずつこなしたほか、我が家の柴犬のドッグフードを求めに自宅近所のペットショップへ出向いたり、家人とスーパーへ買い物に出掛けたりもした。, つまりストイックなエコランにチャレンジした訳ではなく、まったく普通に乗ったのだが、その結果、返却時のガソリン(もちろんレギュラーだ)給油量から割り出した満タン法ながら、結果は27.3km/ℓと出たのである。メーカーオプション付きの試乗車のWLTCモードは27.4km/ℓだから、その数値とほぼ同等の結果が得られた。この数値を出したフィットも立派なものだが、それと同時に、さぞ神経質なアクセルワークを心掛ける必要があるのだろうなあ……のコチラの予測とは裏腹に、ほぼ、ごく普通の感覚で運転がこなせたことも報告しておきたい。, 1点だけ試乗中に気付いたのは、なるほどブレーキ操作は“止め方の会得”が必要ということで、ラフに踏力をかけてブレーキングがほんの少しでも早過ぎると、回生しながら減速していき完全停止直前で(パワーフローメーターの反応、精度が高いせいか)電気を使ってモーターが一瞬だけ駆動したりもした。が、感触としては条件次第で燃費はまだ伸ばせそうだし、何よりクルマ自身が快適な上、リアルな燃費も上々となれば、安心しておすすめできるご自宅用コンパクトカーだと思えた次第だ。, 編集プロダクションを経てフリーランスのモータージャーナリストに。眉間にシワを寄せないクルマのレポートがモットー。 ?】新型ヤリスがアイドリングストップをやめた意外な理由, トヨタの新車開発者に燃費をアピールしなくなった理由を尋ねると、以下のような返答であった。, 「燃費には今でも力を注いで開発しているが、カタログなどに記載される燃費数値よりも、実際にお客様が使われた時の実用燃費にこだわっている。ライバル車の燃費数値はチェックするが、それを見て自社製品の数値を高める目標にはしない」と言う。, いわゆる燃費競争が激しかった時代は、2010~2015年頃だ。この背景にはエコカー減税の実施があった。, 当時は2010年度燃費基準の達成度合いに応じて、購入時に納める自動車取得税と自動車重量税を、50%・75%・100%(免税)の3段階で軽減した。, 減税率の格差が大きく、しかも目新しい制度であったため、「エコカー減税に該当すること」がクルマを選ぶ時の条件になった。, 一種の流行で、特に軽自動車は同じパワーユニットを使った車種を豊富に用意するから、段階的に燃費数値を高めていった。, 例えばスズキの場合、2011年3月にMRワゴンのJC08モード燃費が27.0km/Lになり、2012年2月にはMRワゴン・エコを追加して27.2km/Lに向上させた。, 2012年9月にはワゴンRが改良して28.8km/L、2013年7月には再びワゴンRが改良して30km/L、2014年8月にはワゴンRがFZを追加して32.4km/Lという具合だ。, この間にムーヴやミライースも改良を受けて、競争しながら燃費数値を向上させ、ひとつの車種が1年間に数回、燃費数値を更新していた。, 「JC08モード燃費の数値がライバル車に比べて0.5km/L負けると、エコカー減税率が下がることもあり、売れ行きにも差が付く。, 燃費の良いクルマは、購入時の税額と購入後のガソリン代が両方とも安くなるから、お客様も魅力を感じる。, 特に軽自動車は、ボディサイズとエンジン排気量は全車共通で、背の高い車種は外観や車内の広さも似ている。, お客様にとって違いが分かりにくく、燃費数値、エコカー減税による税金の安さ、メーカーが軽自動車の販売1位か否か、といったことが重要になる」とコメントした。, ところがこの後、ユーザーから「カタログやウェブサイトに記載される燃費数値と、実際の燃費が全然違う」という批判が寄せられるようになる。, 最近はブログやツィッターもあるから、カタログ数値と実走行の燃費に大きな隔たりがあると、その情報が簡単に広がってしまう。, その一方で2013年以降になると、ユーザーの関心は、燃費数値から衝突被害軽減ブレーキに移っていく。販売店からは「ぶつからないクルマはどれですか? かつてはコンマ1km/L単位で、カタログに記載される燃費が新車が出る度に塗り替えられ、各メーカー間で抜きつ抜かれつの激しい燃費競争が行われていた。, しかし、カタログ燃費と実燃費の乖離が大きく、ユーザーの燃費への意識が薄らぎ、いつの頃からかメーカー間でも燃費競争が影を潜めているようにも見える。燃費表示がJC08モードからWLTCモードへの移行期というのもあるかもしれない。, そんななか、コンパクトカーの両雄、ヴィッツ改め新型ヤリスと、新型フィットがデビューした。注目のWLTCモード燃費はヤリスハイブリッドが36.0km/L、フィットe:HEV(ハイブリッド)が29.4km/L。, この数値を見ると、もはやコンパクトカーの燃費競争が終焉したようにも思えてならない。, 本当に、かつてのような燃費狂騒(競争)は終わったのか? モータージャーナリストの渡辺陽一郎氏が解説する。, 最近あまり使われなくなったクルマ用語に「燃費競争」がある。ライバル車同士で、燃費数値を競い合うものだ。, 昔は最高出力を競う「馬力競争」もあったが、その後は「燃費競争」の時代になった。それが最近はあまり話題にならない。, 燃費性能は今でも重要で、今後は燃費規制も厳しくなる。国土交通省は、2030年度にWLTCモード燃費を平均25.4km/Lまで高める燃費基準推定値を発表した。2016年度の燃費実績が19.2km/Lだから、2030年には32%の燃費改善が求められる。, 具体的な燃費概算値を挙げると、車両重量が1000kg以下のコンパクトカーは27.3km/L、1400kgのセダンは24.6km/L、1800kgのミニバンでも21.1km/Lだから、相当に燃費を改善せねばならない。この数値を守るには、ハイブリッドが不可欠だ。, それなのに最近は、燃費競争はもう終わったかのような印象を受ける。2020年2月には、フィットがフルモデルチェンジを行い、ヴィッツも一新して車名をヤリスに変えた。, 両車とも全長が4m弱に収まる5ナンバーサイズのコンパクトカーだから、燃費性能もセールスポイントになる。従来の流れでいえば、燃費数値を互いにアピールする燃費競争に発展しそうだ。, 実際、2013年に先代フィットが登場した時のTV・CMのコピーは「リッター36.4km/L(JC08モード数値のこと)、低燃費ナンバーワン、フィット3」というものであった。, 商品開発も燃費数値に神経質で、先代フィットハイブリッドのベーシックグレードは、このグレードのみアルミボンネットが採用され、燃料タンク容量をほかのグレードよりも8L少ない32Lに抑えた。, この変更により、CMで訴求された36.4km/LのJC08モード燃費を達成している。, ちなみに燃料タンク容量を8L減らすと、車両重量の数値では約6kgの軽量化が達成され、燃費計測で使う等価慣性重量も変わる。従って燃費数値を好転させやすい。, そこで燃費重視のコンパクトカーや軽自動車では、燃料タンク容量を小さくするのが常套手段になったが、新型フィットの燃料タンク容量は全車40Lで統一されている。TV・CMコピーも「人が心地いいならクルマは嬉しい」とされ、燃費は訴求されていない。, 新型フィットのWLTCモード燃費は、1.3L、NAエンジンを搭載する、ベーシックが20.4km/L、量販車種のホームが20.2km/L、e:HEV(ハイブリッド)のベーシックが29.4km/L、ホームは28.8km/Lとされている。, ヤリスの数値は1Lエンジン搭載車が20.2km/L、新開発された1.5Lエンジン車のXとZは21.6km/L(CVT)、ハイブリッドXは36.0km/Lだ。, 燃費数値だけを比べると、フィットが劣り、ヤリスが勝っているが、それでもヤリスは燃費の優位性をアピールしていない。, 参考【燃費至上主義に終止符!? という質問を受けるようになった」という声も聞かれた。, つまり燃費数値にこだわって選んだものの、実用燃費は大きく異なり、各車種とも燃費競争を重ねると数値の差も縮まってくる(当然だが燃費数値を無限に向上することはできない)。, 新たに登場した衝突被害軽減ブレーキは、初期段階では装着車と非装着車に分けられ、歩行者の検知性能にも差が生じた。, こういった事情から、ユーザーの関心は衝突被害軽減ブレーキに移り、燃費数値の0.5km/Lにこだわるユーザーは減っていった。, ■JC08モード燃費ランキング1位:プリウスE/39.0km/L2位:フィットe:HEV/38.6km/L3位:アクアL/38.0km/L4位:ノートe-POWER S/37.2km/L5位:カローラセダン&ツーリングハイブリッドS G-X/35.0km/L 6位:グレイスハイブリッドDX/34.8km/L7位:カローラスポーツSハイブリッド/34.2km/L7位:インサイトLX/34.2km/L9位:カムリX:33.4km/L10位:カローラフィールダーハイブリッド/33.0km/L※PHVを除く, そして2018年10月以降の新車からJC08モード燃費に代わってWLTCモード燃費が導入されると、トータルの数値に加えて、市街地モード/郊外モード/高速道路モードもある。 尚、継続して生産されているモデルであっても、2020年9月1日以降はWLTCモードの表示が義務化される。, JC08モードでは格段に優れていたハイブリッドの燃費数値が、WLTCの高速道路モード燃費になると、NAエンジンと大差なかったりする。, そうなるとユーザーも「燃費は単純に比較できるものではないらしい」と気付き、燃費競争からさらに遠ざかった。, このほか2019年10月の消費増税と併せて行われた自動車税制の改訂も、燃費競争を抑える効果を発揮している。, 自動車取得税は環境性能割に変更され、2020年9月30日の登録(軽自動車は届け出)までは、軽減措置も実施されている。そのために燃費数値が異なる割に、環境性能割の税額に差が付きにくいからだ。, 燃費に限らず、商品が進化するためには競争が必要だ。競争関係が薄れると、商品開発も緩んでしまう。, ただし燃費競争が過激になると、エンジンのセッティングも計測時のモード燃費を重視したものになり、実走行の燃費を悪化させてしまう。これは不毛な競争だ。, そして2010~2015年頃の過激な燃費競争を招いたのは、エコカー減税であった。国の施策が不毛な競争を招き、車両開発までモード燃費重視に歪めてしまった。, 初度登録(軽自動車は届け出)から13年を経過した車両の増税も含め、国のやることには問題が多い。自動車税の引き下げ程度で、満足することはできない。, あの京セラが車を開発!! 急ブレーキは燃費を悪化させる原因となります。 【エアコンは控えめに】 エアコンのコンプレッサーはエンジンで駆動しているので、エアコンの過剰な使用は燃費にも影響があります。 適切な温度設定とこまめな温度調整、スイッチオフを心がけ 新型フィット&ヤリスが燃費競争を「降りた」理由 もう狂騒は終わったのか? 燃費表示がJC08モードからWLTCモードへの移行期でもあるなか、新型ヤリスと新型フィットがデビューし、燃費が発表された。燃費をみると驚きの数字が。激しかった燃費競争は終焉へむかったのか解説する。