スケジュール表の効果 「子どもが見通しが持てるように、スケジュール表を使いましょう」とよく言われます。でもそれだけではピンと来ない方も多いのではないでしょうか? ここでは具体的な効果を紹介します。 パニックや癇癪が自然になくなります 夫・娘(10歳)息子(8歳)の4人家族。 「うちの子どもは、遊びはじめると途中でやめられず、私がおもちゃを取り上げて無理にやめさせようとすると、泣き叫んでいました。, 保育園の先生に相談したところ、『いつまで遊んでいてもよいのかが目で見てわかるように、砂時計があるといい』と教えてもらいました。, そこで、さっそく砂時計を買ってきて、『お砂が落ちたら、遊びはおしまいです』と教えて、遊びをやめさせようとしました。, ところが、その砂時計にはキラキラした砂が入っていて、うちの子どもは砂時計をひっくり返すと、うっとりとその砂時計を眺めています。そして砂が落ちきると、かえってパニックを起こすようになってしまいました……」, しかし、先生に叱られたことを家に帰ってから私に報告すると、私からまた怒られることを学習しました。, そこで、私が『今日、何があった?』と聞いても、絶対に先生に叱られたことは言いません。, しかし、娘は、おもちゃのピアノをひきながら、自分が体験したことを自分勝手に即興の唄にして歌うのが大好きです。, それを横で聞いていると、『今日も、お友だちを叩いて、先生に叱られた』『今日も、体操の時間にみんなといっしょにやるのを嫌がって怒られた』ことがわかります。, 言いたくないことを歌詞にして歌いたいのだったら、私が聞いていないところで歌えばいいのに、と思うのですが……」, 発達障害のある子どもは見通しを持つことが苦手で、この先に何があるのかを思い浮かべることができません。, 私たち大人は、苦手な作業をする時でも、「あと残りが10分だからがんばろう」とか、「終わったらごほうびとしてお菓子を食べよう」などと考えて、その作業をやり遂げることができます。, しかし、大人であっても、苦手な作業を延々としなくてはならず、続けた先に良いことがあると思えなければ、続けられません。, また、カラオケや宴会も、楽しんでいる途中で急に「もう、終わりです。帰ってください」と言われたら不満が残ります。, カラオケがいくら楽しくても、切り上げられるのは、一般的には、はじめから時間に制限があり、終了の時間を意識しながら、残りの時間を楽しめるからです。, ケース1のように、子どもが遊んでいる最中に親が無理やり遊びをやめさせれば、子どもは大きな不満を感じるのですから、パニックになるのは当然です。, また、言葉で伝えただけでは、時間の感覚はもちにくいので、目で見て、あとどれくらい時間が残っているのかがわかるようにしてください。, そのために、砂時計やキッチンタイマー、残り時間が目で見てわかる時計(タイムタイマーという発達障害のある子どものために作られた時計が売っています。また、スマホやタブレットでその機能があるアプリがあります)が効果的です。, しかし、ケース1のお子さんのように、砂時計のキラキラした砂に見とれてしまうことがあります。, ケース2の子どもは、「先生に叱られたことを母親に報告すると、母親からも叱られる」ことを学習しているのは、一見、先の見通しが持てているように見えます。, しかし、その後の「即興の唄」でばれていることに子どもは気がついておらず、やはり目の前のことより先は見通せないことを指しています。, 筑波大学医学医療系准教授。臨床心理士。 横浜市の障害福祉サービスや現状についても発信していきます。, 【20歳前の傷病による障害基礎年金】申請に必要な重要書類と今から準備出来ることは?. var _lgy_lw_0 = document.getElementsByTagName("script")[0]; })(); 二次障害は「親が作る障害」?発達障害の子どもに起こりがちな二次障害を防ぐために保護者ができること, 伝わらない原因は「理解言語」が十分ではないから? 発達障害の子どもが人の話や言うことを聞けない時の対処法. (adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).push({}); 8歳の自閉症児の息子を持つ横浜市在住の40代母。 近年では幼児に対する命の教育や気になる子どもの対応に精力的に取り組んでいる。. 息子の成長過程や療育のこと、役に立った書籍や体験談などについて記録しています。 その日のスケジュールを事前に予告しておくことはとても有効です。 発達障害のお子さんは、耳から入る情報よりも視覚的な情報処理が優位であると言われています。 療育現場ではその日の活動内容をスケジュールボードで提示することが多いです。 パニックとは、泣き叫んだり物を投げたり壊したり激しい興奮状態にあることを言います。, 「見通しを立てる」ことで、本人の不安を緩和したり心の準備をする時間を与えることが出来ます。, 発達障害のお子さんは、耳から入る情報よりも視覚的な情報処理が優位であると言われています。, その日の予定や活動も、天候や急なトラブルによって変更になったり、日常には突然のイレギュラーが発生することがあります。, 聴覚より視覚優位での情報処理が得意な発達障害のお子さんには、変更になった時点でスケジュールボードを入れ替えるなどをして対応することも有効です。, 言葉で伝えてもよく分からず、気付いたら状況が変転しているとなると、またパニックの原因になります。, 言葉が理解出来るお子さんには、変更が生じる可能性がある時はそのことを伝えておくことでパニック回避もしくは軽減出来るかもしれません。, うちの息子はここまで難しい言葉が理解出来ないので使えない手法ですが、お話が出来るお子さんには試してみて頂きたいです。, 我が家の場合は、クリニックの外観写真を見せてから向かったり、歯科の場合は歯ブラシを見せて「今日は歯医者さんだよ!」と伝えたりしました。, 事前に分かってしまうとパニックになる時間が長くなってしまうのではないかと、病院に行くことを着くまで隠していたりしました。しかしそれが逆効果でした。, 事前に「○○クリニックに行くよ」と伝えることで、そこで一瞬泣いたりしますが、着くまでの間に少しずつ心の準備が出来るようで、診察が終わった後のパニック状態は長引かなくなりました。, ●長期休暇明けの登校日は「今日はスクールバスで学校に行くからね」と言ってバスの写真を見せてから登校する, 言葉で「あと10分だよ」と言ってもそのニュアンスが何だかよく分からず言葉で理解が出来ないことが多いのですが、タイマーや指で数を数えることで理解出来ることもあります。, 発達障害の療育でよく使用される「絵カード」ですが、息子には絵カードでの指示や予告が入りませんでした。, 最初は写真にすら注視することが出来ませんでしたが、少しずつ写真をジーっと見るようになってきました。, このように言葉で伝えるだけで、写真などの視覚ツールを使用せずに概ね状況理解が可能。見通しを立てて心の準備が出来ているようです。, ところが、ダメ元で写真を見せたり、事前に伝えることでパニックを回避することが出来るようになってきたのです。, 反応が薄い自閉症児、しかも重度知的障害となると保護者の方も気が遠くなる程の根気を要しますが、懲りずに視覚ツール(写真や絵カード)+聴覚(言葉掛け)のアプローチで可能性が広がるのではないかと信じています。.