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ALSとは「筋萎縮性側索硬化症」のことで、運動を司る神経(運動ニューロン)に障害が及び、手足・喉・舌などの筋肉が徐々に痩せていく難病です。 原因は未だ完全に解明されていませんが、神経系の老化や遺伝子の異常などが原因であるという見方が強く、徐々に原因が明らかになってきています。 また、ALSの根治治療は存在しておらず、症状の緩和や進行の遅延を主として治療を行っていくため、発症から死亡までの期間は … 看護師 看護計画 全科共通, 看護師をしていると、様々な壁にぶつかることがありますよね。なかでも意外と聞かれるのが、人工呼吸器という壁。患者さんの生命を左右する重要なものですし、看護師として身につけておきたいスキルではあるけれど、ハードルが高い・・・、わけがわからない・・・と感じている人が多いようなのです。, そこで今回は、人工呼吸器について徹底的に解説していきます。一度マスターしてしまえば、どんな場面でも恐れることはありません! 扱うたびに胃がキリキリ・・・なんてことがないように、緊急時でも冷静に対処できるようになりましょう。, ではまず、人工呼吸器とはどんなものなのか、見ていきましょう。人工呼吸器は、自力で呼吸することが難しくなった際に、換気を人工的に代行する機械のことをいい、ベンチレーターやレスピレーターと呼ばれることもあります。一般に人工呼吸に行われる換気経路には、次の3つの種類があります。, そもそも、人工呼吸とは換気の補助や代行をすることをいいますが、気管に人工気道を留置して呼吸管理をする“侵襲的換気法“と、マスクを使って呼吸管理をする”非侵襲的換気法“にわけられるのです。今回は、“侵襲的換気法“について解説していきます。, ちなみに、かつては「鉄の肺」とよばれる、首から下の全身を機械の中に入れるという大掛かりな設備による人工呼吸器も存在し、一部の病院で使われていましたが、現在では博物館で見られる代物となっています。その後、気管挿管による人工呼吸が一般的になってくると、挿管チューブによって換気する現在の方式が広まってきました。, そして、現在ではさまざまな種類が使用されています。1機種で統一されていればいいのですが、複数種を扱っている医療施設も多いので、それぞれの機種に対応することが求められます。中でも、新しい機種では独自の動作モードや機能を持ったものが多く、こうした機器の多様化が管理を複雑化し、医療事故の一因ともなっているのが現状です。, その一方で、新しい機種になるほど医療事故を防ぐための機能が充実しているので、 正しく理解した上で扱えば医療現場での強い見方となるのです。医師のみならず、看護を行う人は十分な知識と注意が必要とされているのですね。, 人工呼吸の対象となるのは、自発呼吸の消失や不足が見られるなど生命維持が危機的な状況にあったり、酸素投与のみでは酸素化が不十分、または呼吸困難感や強い努力呼吸がある場合などです。通常、用手人工呼吸の適応となる心肺蘇生とは異なり、さまざまな病態による呼吸不全が適応となります。, そして、人工呼吸器からのウィニング(離脱)と、予後の改善を目標とし呼吸管理を行います。目標を達成するためには、合併症の予防と安全の管理に十分配慮し、人工呼吸器管理をすることが求められます。, 次に、実際に人工呼吸器を用いた際にはどのような経路を通って換気が行われるのか見てみましょう。侵襲的陽圧換気を行う場合では、人工気道を留置し、人工呼吸回路を接続して換気を行います。そして、人工呼吸器からのガスが漏れ出さないように、カフを膨張させます。本体には電源や圧縮空気、圧縮酸素の配管を接続します。, 吸気時には、吸気弁が開いて呼気弁が閉じた状態になります。この時に吸気側の回路を介して吸気が行われます。反対に、呼気時には吸気弁が閉じ、呼気弁が開くことで呼気側の回路を介して呼気同左を行います。基本的には、吸気のサポートのみで、呼気は自発呼吸と同じように、肺胸郭の弾性によって受動的に行われます。, そして、これらの動作が適切に行われるために、医師が患者さんの状態やデータに基づいて人工呼吸器の設定を行います。患者さんの換気動作は人工呼吸器に委ねられますので、常に状態のアセスメントを的確にすることが大切です。, 呼吸器とはどのような仕組みのものかがわかっていただけたかと思いますが、それでは実際に、人工呼吸器を使用するためのポイントを説明していきます。, まずは、人工呼吸器の換気モードについて把握しておきましょう。人工呼吸器のモードは、患者さんの呼吸をどのように補助するかで分類されていて、強制換気主体か、自発呼吸主体か、両者を組み合わせた方法かによって大別されます。, また、換気様式として、換気量と吸気フローを設定する従量式(VC)と、吸気圧と吸気時間を設定する従圧式(PC)がありますが、現在ではその両機能を備えた人工呼吸器が多いようです。, このうち、最もよく使われるモードはSIMVです。患者さんの自発呼吸はあるけれど、それだけでは十分ではない時に使うモードで、患者さんの呼吸に同期させ、時々強制的に換気させるという方法です。また、PSVも頻繁に使われるモードです。このモードでは換気量も回数も時間も設定せず、全て患者さん任せとなります。つまり、自発呼吸のある患者さんの呼吸を低めの圧でサポートするというイメージです。, そしてこの他にも、サーボ、エビタなどには独自の高機能モードがあるので、使用機種によってその特徴を把握しておくことが必要です。セッティングや設定は医師が行いますが、適切なケアをするためには看護師も機器に対する理解を深めておくことが求められます。, 続いて、人工呼吸器の使用にあたり、確認しておくことや、注意することをまとめておきましょう。, 2、電源の接続、スイッチを確認(※電源は無停電電源に接続し、耐圧チューブを酸素と圧縮空気の配管に正しく接続する), 4、回路が確実に接続され、きちんと動いているか確認(①呼吸器回路は滅菌済みであり、破損や緩みがないこと、②吸気側と呼気側を正しく接続できていること、③回路内の結露や、ウォータートラップの水の確認、④バクテリアフィルターを交換したか確認), 6、アラーム音の設定を確認しておく(それぞれの設定により異なる)(※アラームが適切に働かないと、異変に気がつくことができない), 7、換気モード、酸素濃度、換気量・回数、回路内圧、トリガーレベル、呼気終末期陽圧レベルが設定どおりになっているか確認, 8、カフ圧の確認(高すぎても、低すぎてもいけない)(サクション後、カフ圧計を使って25cmH2o前後にあわせる), 9、アンビューバッグなどの用手的換気物品、気管内挿管物品、吸引物品を準備しておく(※万が一の際に救急蘇生の準備をしておく), これらの項目は、医師の指示に変更があった際や、ケア・処置の終了後、勤務交替時などにもチェックをしっかり行う必要があります。, さて、続いて実際の看護にあたって押さえておくべき観察項目をチェックしてみましょう。, ●患者さんの全身状態(バイタルサイン、意識レベル、精神状態、チアノーゼや四肢冷感等の異変の有無), ●人工呼吸器の作動確認(自発呼吸の有無、気道内圧、一回の換気量、ファイティングの有無等, ●人工呼吸器の点検(マニュアルは常に身近に置いておき、マニュアルに従って実施する), 人工呼吸器では、患者さんに危険が及ぶ可能性を少しでも減らすために、安全管理体制を常に徹底していることが大切です。万が一の不具合は、決してあってはなりません。看護にあたる際も、いつも細かいところまで気を配り、ミスや事故が起きないようにしましょう。, 人工呼吸器を使った看護は病院内だけとは限りません。自宅療養や在宅での治療を望む患者さんには、在宅・訪問看護で人工呼吸器を使用することもあります。そこで、在宅・訪問看護での人工呼吸器の使用についてどのようなことに注意すればよいのか、ポイントをチェックしていきましょう。, 対象となるのは、肺線維症や慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの肺疾患、筋ジストロフィーや筋萎縮性側索硬化症(ALS)などの神経筋疾患の患者さんで、医師が在宅人工呼吸療法を必要とすると判断した場合です。現在、在宅で人工呼吸器を使用する際には、携帯型人工呼吸器が普及しています。, では実際のケアについて見ていきましょう。まず大切なのは、在宅人工呼吸療法を開始する前に、患者さんや家族の意志や受け入れ状況をよく確認しておくことです。そして、些細なことでも相談に乗りやすい環境を作っていれば、より安心して在宅看護を受けてもらえますし、何より事故の防止にもつながります。, ●介護者とともに吸引を行って、介護者が正しく吸引できているかを確認し、必要があれば指導する, ●カフ圧の設定は医師の指示に従う。過剰なエア注入は気道の圧迫壊死を引き起こす危険性有りなので注意する, ●アラーム設定や換気量、気道内圧、回路や回路内の貯留水、酸素濃度、加温加湿器の滅菌蒸留水のチェックなど、確認項目のチェックを行う(チェック表などを用いるとよい), ●トラブルが発生したときの対処方法や、アンビューバッグを使った用手的換気法の指導を行う, ●患者さんの状態をよく観察し、音楽やTVを活用したり、可能であれば外出をして気分転換をするように指導する, ●言葉を発することができない場合は、ホワイトボードや透明文字盤などを用いてコミュニケーションを図る, 1994年から在宅人工呼吸法が医療保険の適応となったことを皮切りに、98年には非侵襲的陽圧換気(NPPV)も医療保険の適応となりました。さらに、2003年には筋萎縮性側索硬化症、2005年には遷延性意識障害や筋ジストロフィーなどの在宅療養者についても、家族の負担軽減のため、介護者による痰の吸引が認められるようになりました。, こうした背景から、人工呼吸器を使用しながら在宅医療を受ける患者の数は増えていますが、人工呼吸器は万が一のトラブルが患者さんの生命に直結します。そのため、事故を防ぐための安全管理を徹底することが、看護師にとって最も重要な役割の1つと言えます。, ここまで人工呼吸器についてのポイントをまとめてきましたが、まだまだ不安があるという方や、救急救命に携わっている方、人工呼吸器のエキスパートになりたいという方は、セミナーなどもあるのでぜひ受講してみてはいかがでしょうか。, この他にも様々な書籍やDVDが出ていますので、自分に合いそうな内容のものを選んでみて下さい。, 今回は人工呼吸器についてまとめてきましたが、いかがでしたでしょうか。さまざまな機種や機能があって複雑化している人工呼吸器。そのハードルは高いかもしれませんが、克服してしまえば、看護師としてかなりの強みになります。, いままで苦手意識を持っていた方も、この機会に人工呼吸器ともう一度向き合い、人工呼吸器を心強い味方につけてください。, 脳性麻痺とは、妊娠中から生後4週以内に脳が損傷したことで運動障害が起こる疾患のことで, 「看護師になりたい」という目標を叶えるためには、看護系の教育機関での学習を経て、看護師国家試, ハインリッヒの法則を知っていますか。1つの重大事故の裏には29の軽微な事故があり、その裏には, 救急医療は、一次救急・二次救急・三次救急に大きく分類されます。