(5)甲の顧客からの苦情処理内容に関する情報 甲または乙は、相手方当事者が本契約に違反し相当な期間を定めて是正の催告をしても期間内に是正しないときは、甲乙間で締結した業務の委託に関する契約の一部または全部を解除することができる。, 注意しなければならないのは、秘密保持義務違反の場合に秘密保持契約を解除するという内容を定めても意味がなく、「業務委託契約自体の解除」ができるようにしておく必要があることです。, このことから、上記の「おすすめの規定例」では、「甲乙間で締結した業務の委託に関する契約の一部または全部を解除することができる。」と規定しています。, 第〇条(契約解除) (1)甲の顧客の住所、氏名、電話番号、メールアドレスその他連絡先に関する情報 リスクの大きい条文例にもあるように、自社に有利な契約を結ぶため、独自のndaを用意している企業は少なくありません。標準的なndaの型を知り、自身に不利な契約を結ばないよう心がけましょう。 (3)甲の顧客のクレジットカード番号その他クレジットカード決済に関する情報 4,秘密保持義務の例外に関する規定 秘密を保持するために締結するnda(秘密保持契約)。頻繁に締結する契約なので、契約内容の確認が不十分になりがちです。しかし、その不注意が大きな損失がつながることも。本記事では、nda締結時にこれだけは見てほしいチェックポイントをまとめました。 出版社:清文社 6,事故発生時の報告に関する規定

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(4)甲のECサイトの売上の額、経費の額、平均購入単価、平均購入回数に関する情報 秘密保持契約(NDA; Non-disclosure agreement)。外部の方と仕事をする際、なんとなく取り交わしたことがある方も多いと思います。, NDAは本来とても重要な契約です。しかし、「中身をよく読まずに契約してしまった」「クライアントに求められるがまま契約を結んでしまった」という方は多いハズ。NDAの中には、悪意を持って組み込まれた、こちら側に一方的に不利な内容が紛れ込んでしまっているケースさえあります。中身をよく読まずに契約してしまうと、のちのち自分たちの首を絞めかねません。, この記事では、NDAの重要性とその要点を詳しく解説します。あわせて秘密保持契約に強いGVA法律事務所に聞いた、実際にNDAを結ばずトラブルに遭ってしまった事例・NDAを結んだ後に起こったトラブル事例とともに、NDA基本の様式が分かるテンプレートなど秘密保持契約のすべてをあますことなくご紹介。秘密保持契約の決定版です。, 秘密保持契約(以下、NDA)は、企業の機密情報を保護するための契約書で、守秘義務契約とも呼ばれます。契約の主な目的は2つ。, 企業の秘密情報を開示する側(開示側)が受け取る側(受領側)に義務や制約を課すため、当然両者のスタンスは真っ向から対立します。受領側は「秘密情報の幅を限定したい」「幅広い目的に利用したい」と考えているのに対し、開示側は、「秘密情報の幅を広く定義したい」、「利用目的は細かく明確に規定したい」と考え、NDA締結を求めます。, 何よりもまず、「秘密情報」、「機密情報」の定義規定を確認した上、自身にどの程度の義務・責任が生じる契約なのかを見極めることが大切です。, NDAを結ぶタイミングは秘密情報を開示する前の取引交渉段階がほとんどです。取引の可能性を検討する際に、秘密情報の開示が必要となることが多いからです。, 打ち合わせ中に話が盛り上がり、つい秘密情報を開示してしまうケースもあるでしょう。あるいは秘密情報であるために一定の情報の開示ができず、お互いに満足のいく検討ができない可能性も想定されます。そのため、ある程度、口頭での打ち合わせをした後、本格検討をする前にNDAを結ぶのが理想だといえます。, とはいえ、NDAを取り決める前に秘密情報を開示することもあるでしょう。NDAの規定の仕方によっては、契約締結時よりも前に開示した秘密情報についても保持義務を課すことができるため、契約時にきちんと確認しておきましょう。, 法律上に「秘密情報」の明確な定義はないため、当事者間で定義付けをする必要があります。とはいえ、契約書自体に秘密情報の具体的な項目を書くケースは多くありません。なぜなら、NDAを締結する時点ではどのような秘密情報を開示するかがはっきりせず、具体化することが難しいためです。, 仮にその時点で想定される秘密とすべき情報をすべてリストアップしたとしても、その契約上の義務や誓約はリストに挙げた情報についてしか及ばないことになります。秘密情報そのものを書類に記すことで秘密情報(とその外延)が漏洩するリスクもあります。, 例えばメーカーのA社が、自社製品のプロモーションのために広告代理店のB社に依頼をするとします。A社はPRの効果を高めるために、製品情報や他社製品との比較データなどをB社に詳しく伝えます。, それらの情報の中には、競合他社などに知られてはいけない情報も多く含まれるでしょう。そのため、A社は、製品についてのあらゆる詳細情報を保護する必要があります。そこで、製品の構造についての情報を秘密情報としたい場合でも、「(A社)が(B社)に対して開示する当該製品に関する構造上、技術上、営業上の一切の情報は秘密情報に含まれるものとする」といった具合に、契約書上ではひとつひとつの情報をはっきり定義しません。, 企業との取引の場には欠かせないNDA。NDAを精査せず契約を結んだ結果、トラブルになったケースは数多く存在します。たとえば、秘密情報の範囲を確定させなかったことで、情報受領側が多額の賠償金支払いを命じられた事例があります。, case2 口頭の情報、あるいは媒体に残らない情報が機密保持義務の対象になっているにも関わらず、安易に情報を受け取り、何を受け取ったかわからない状態で、契約違反の主張を受け、防御の対応に窮するA社(日本企業)がB社(米国企業)からある技術についてプレゼンテーションを受ける際に秘密保持契約にサインさせられ、プロジェクターを使って説明を受けた。 A社は、 検討後に結局その技術を導入しないことに決め、B社にその旨通知した。数か月後、A社は自社のまったく別の部署で開発された新製品を発売したところ、B社から、A社の新製品にはB社の技術が使われており、秘密保持契約に違反するとして、米国の裁判所で訴えられた。A社はB社からどんな情報の開示を受けたか不明で、十分な防御ができない状態であった。米国の裁判所においては1.ディスカバリー (証拠開示)2.陪審員の参加 3.懲罰的賠償・弁護士費用の敗訴者負担制度など、日本の裁判との違いがあり、 特に、陪審員参加による評決の予測が不確実である点から、A社は早期の和解に応じ和解金を支払わざるを得なかった。, 引用:LexisNexisビジネスロー・ジャーナル2013年1月号(No.58) p.49, そのため、受領側(この例ではA社)は、受け取った秘密情報を特定できるようにしておき、余計な情報を受け取らないことが重要です。もしA社がNDAの締結段階で交渉をしていたら、このようなトラブルは防げたでしょう。, 前述したトラブル事例のように、受領側にとって不利な条文が入っているケースも少なくありません。GVA法律事務所が100例以上のNDAを調査したところ、契約書内にリスクの大きい条文が含まれる可能性は低くないことが分かりました。, 特にリスクが高く、かつ見逃しがちな条文は知的財産権や成果物の取扱と競業避止義務です。それぞれ解説していきます。, NDAの主な目的は、秘密情報の目的外利用および漏えいリスクのコントロールですが、開示される秘密情報に基づき、新たな発明や考案、創作がされる場合も将来想定されます。そのため、秘密情報に基づく新たな創作等による知的財産権についても、事前に規定がされるのです。, 特に、この規定がない場合または不明確な場合、事後にトラブルになりえます。また、思いもしない形で、一方のみに有利となる規定を合意してしまうケースもまま見られるところです。, 例えば、開発等を委託する際に、「簡単な開発だから」と開発委託契約を締結しないままNDAだけを締結し、NDAの先にある開発委託契約書をNDAで代替してしまうケースもあります。このような契約書では、NDAであるにもかかわらず、情報成果物等の知的財産権の帰属関係が規定されていることがあります。重大な事項となるため、注意しチェックする必要があります。, 有形・無形の制作物を守る権利が知的財産権です。知的財産権は産業財産権と著作権からなります。その他、ノウハウや登録等を受けることのできる権利といったものも含めて規定されることも多いため、契約書上の「知的財産権」の定義についても注意する必要があります。, 産業財産権は新しい技術やデザイン、ネーミングなどに与えられることが多く、特許権・実用新案権・意匠権・商標権の4つ権利が産業財産権として定められています。, 著作権は、著作物の制作者が持つ権利を指します。著作権には最初に著作物を作った人だと証明し保護する著作者人格権と、制作者の利益を守るために、著作物を財産として認める著作財産権が含まれます。, 著作権の所在を明確に定めていないと、納品後に発注者・制作者のどちらが保持するか?という問題が起こります。, 通常、著作権は著作物を制作した側にあります。しかし、開発等の委託においては、発注側が著作権を保持したいと考える場合がほとんどです。発注側の意図を知るには、以下の項目をチェックしましょう。, これらの権利を「発注側に譲渡する」、これらの権利が「発注側に帰属する」と記されている場合、発注側が著作権を欲しがっていると読み取ることができます。加えて「著作者人格権を行使しない」という項目は、「名前を成果物の中に入れること」や「改変をしないこと」などの、制作者の主張を退ける効力があります。, また、納品した制作物それ自体にかかわる著作権のみならず、制作の過程において生じるあらゆる権利が発注側に帰属するという規定もみられるので、注意が必要です。, 秘密情報には、企業独自のノウハウや顧客情報が含まれるため、これらの情報を利用して同じ業界で別のビジネスをおこなうと、情報を開示した企業は損害や不利益を被ります。, そこで、情報を開示する側と競合する会社・組織への就職や、競合する企業の設立または取り引きなどを受領側が行うことを禁止する場合があります。これが競業避止義務です。, 競業避止義務を検討せずに安易に契約を結んでしまうと、ビジネスの幅を狭めてしまう可能性があります。例えばA社とB社が競合する事業を営んでいる場合、A社と取り引きをすることでB社とは新たに取引ができなくなってしまうこともありえます。仕事を受ける立場としては、特別な事情がない限り同意をしないほうが良いでしょう。もしくは、NDAの前提である事業の検討をしている期間のみに競業避止義務の効力を限定するなど、極力義務の効力が限定的になるよう努力すべきです。, 例えば、競業になりうる事業を商うA社とB社が、新規事業に向けた取引を検討するためにNDAを締結。B社が主に情報を受け取る立場にいたとして、契約書をきちんとチェックせずに、広範囲な競業避止義務を負ってしまったとします。, しかし実際のところ、その事業において競業避止義務に違反するような秘密情報の利用をしたか否かを判断するのは困難です。これは裏を返せば常に秘密情報の利用を疑われることになり、萎縮的効果すら生じさせます。, 競業禁止義務の規定においては、ある一定条件を満たせば秘密情報を利用した事業行為であるとみなす旨の規定もありうるため、安易な締結は事業を停止する効果すら持ちうるのです。, NDAを結ぶ目的を定めるのは、NDAの効力が及ぶ範囲を確認するとともに、秘密情報を利用できる範囲を明らかにするためです。たとえば「新しい技術に関して共同開発が可能か否かの検討」のために情報を開示するはずが「新しい技術の開発検討」のためと明記されていた場合、受領側は自社で新しい技術開発の検討するときにも秘密情報を利用できる可能性が生じてきます。, 情報を開示する側となった場合は、使用目的を細かに定めて受領側が秘密情報を扱える範囲を記しましょう。, NDAを取り交わしたことで守られる秘密情報は、契約内で秘密情報として定義された情報のみ。それ以外の内容は秘密情報として扱われません。契約を取り交わす段階で、守りたい情報が義務の対象となるよう細かく、また明確に定義されているかどうか確かめましょう。, 自身が情報を開示する際は、その情報が秘密情報にあたることをメールや書面に残しましょう。秘密情報の定義がある程度幅を持つ以上、当該情報が秘密情報に該当するかどうかにおいて双方に認識の食い違いが生まれるからです。後になって、「それは秘密情報でない」といって管理責任をめぐってトラブルになる事例もあります。, 該当する取引が終了した後も、NDAの効力が続く契約を求められるケースもあります。前述した競業避止義務の有無と合わせて確認し、自社に不利な場合は交渉も検討しましょう。特に永久的な義務が定められている場合は注意が必要です。, 企業でNDAを結ぶ際、契約書を見るのは限られた上層部の人間のみで、実際に秘密情報に触れる社員には周知されていないケースは少なくありません。, その結果、秘密情報が雑に扱われ、社内の不正使用や漏洩に繋がる危険性があります。契約担当者は遵守していたとしても、企業単位では秘密保持義務違反の責任を問われかねません。, 社員全員に秘密保持の意識を持ってもらうためには、契約を結んだ人間や代理人がNDAの内容を噛み砕いて現場社員に説明する必要があります。そのうえで、社員に秘密を保持する誓約書を提出するのも有効な手段のひとつです。誓約書の内容は以下のような具合です。, あわせて社内で情報管理責任者を定めて明確な規定を設けるなど、組織全体で秘密情報保持漏洩を防ぐ体制を作ることも必要です。, 一方、情報を開示する側の場合は相手の企業の社員が自社に対し誓約書を結ぶことを義務付ける一文をNDAのなかに含ませるとよいでしょう。, リスクの大きい条文例にもあるように、自社に有利な契約を結ぶため、独自のNDAを用意している企業は少なくありません。標準的なNDAの型を知り、自身に不利な契約を結ばないよう心がけましょう。, これまで、NDAでチェックすべき多くのポイントを紹介していきました。しかし実際の契約時に条文をひとつひとつ細かくチェックするのは骨が折れる作業ですし、必要以上に時間を割いてしまうと事業スピードやプロジェクトの停滞にも繋がってしまいます。, 各種契約のチェックをおそろかにせず、本業に注力したいスタートアップや個人事業主のために、スピーディかつ低コストで契約書チェックができるサービスが「AI-CON」です。, アップロードされた契約書をAIで分析し、「自社に不利ではないか」「重要な項目は欠けていないか」といった契約リスクを5段階で判定。, 条項の修正案を提示するほか、弁護士への相談機能を使うと弁護士からのフィードバックを受けることもできます。. 規定例の(7)にあるように、(1)~(6)以外の情報については、秘密情報であることを明示した場合に限り「秘密情報」として扱う旨を規定する。, 第〇条(秘密情報の定義) 三井住友VISAカードプレゼンツ「ビジドラ~起業家の経営をサポート~」では、経営者・個人事業主・スタートアップの担当者が知っておきたいバックオフィスの基礎知識をご紹介しています。経理/会計・税務・財務・法務・人事の各分野について、専門家監修記事で丁寧に解説します。, 他社と仕事を進めるときに、「秘密保持契約」を交わすことがあります。秘密保持契約のことがわからないまま締結をしてしまったり、あるいは締結を拒否してしまったりしていないでしょうか。また、自社の秘密情報を守るために、秘密保持契約を結ぶべきシチュエーションがあります。ここでは、自社が不利益を被らないために、秘密保持契約の基礎知識について解説していきます。, 秘密保持契約(NDA)とは、自社が持つ秘密の情報を他の企業に提供する際に他社に漏らしたり不正に利用されたりすることを防止するために結ぶ契約です。通常は、自社の情報を開示する前に締結し、その場合には秘密情報の定義を明確にすることが重要です。例えば、他社と新製品や新システムを共同開発するときや、外部に新製品や新システムの開発委託をするとき、またはその新製品の試作をほかの工場に依頼するときなどです。他社に自社の新技術や新商品の情報を開示しないと仕事ができない場合、秘密情報を開示する前に秘密保持契約を結ぶわけです。, 秘密保持契約は、秘密情報の他社への漏洩や不正利用を防ぐために必要となりますが、それ以外にも間接的に以下のような目的があります。, 当該秘密情報に関して特許申請が予定されている場合は、秘密保持契約を締結しておく必要があります。特許法では、「公然知られた発明」(公知の発明)は、特許を受けることができません(特許法第29条第1項第1号)。「公然知られた発明」とは、特許庁の公表している特許・実用新案審査基準では「不特定の者に、秘密でないものとしてその内容が知られた発明」を意味するものとされており、守秘義務を締結していない者に情報が知られた場合には、「公知」となってしまう危険性があります。そのため、秘密保持契約を締結していないと、発明に関する情報が漏洩したときには、その発明の特許を取得できなくなってしまいます。このような事態を防ぐためにも、秘密保持契約の締結が必要となります。, 不正競争防止のために、秘密保持契約が役立つケースがあります。自社が新しい製品やサービスを開発していて、秘密情報が漏洩したことにより、第三者が同等の製品やサービスを作ったとします。その秘密情報が不正競争防止法の「営業秘密」に該当した場合は、その製品やサービスの販売に対して、差し止め請求や損害賠償請求ができます。しかし、漏洩した秘密情報が、不正競争防止法が定める営業秘密として認められるためには、その情報が秘密として管理されていることが条件になります。その際、秘密保持契約を交わしていないと、秘密として管理されていなかった証拠となり、秘密情報だという根拠が弱くなります。秘密保持契約を締結しておくことで、情報の秘密管理性を主張できます。, 秘密保持契約書は、自社と相手方のどちらかが一方的に作成してはいけません。双方で協議しながら作成していきます。秘密保持契約を交わす際、情報を開示する側は秘密情報を幅広く保護したいと考えます。一方、相手方は、できるだけ秘密保持の範囲を狭くしたいと考えます。リスクを背負うのは情報を開示する側ですので、当事者間で「なぜその秘密情報を開示する必要があるのか」という共通認識を作り上げ、「情報開示の目的は何なのか」を明確にしておくことが大切です。秘密保持契約では、以下の内容を確認しておきましょう。, 契約内容に双方合意できたら、まずは秘密保持契約書の原案を作成します。原案が完成したら、原案の内容が事前に協議した内容と相違ないかどうか確認しましょう。もし、どちらかから反対意見が出るようでしたら、協議して修正していきます。両社で内容に合意したら、秘密保持契約書を必要部数作成し、それぞれの会社が一部ずつ保有できるようにします。当事者それぞれが調印したら秘密保持契約が締結されます。, 秘密保持契約は、遅くとも相手方に秘密情報を開示する前までに締結しておく必要があります。秘密保持契約を締結する前の商談中に秘密情報を開示してしまい、最終的にビジネスへとつながらなかった場合には、相手方にただ秘密情報をもらしただけとなってしまいます。秘密保持契約を締結する前は、秘密情報は開示しないようにしましょう。, 秘密保持契約を締結していても、相手方が秘密情報を漏洩させたり不正利用したりといった契約違反を起こす可能性があります。そんなときには、裁判所に訴訟を起こして、損害賠償を求めることができます。その際、秘密情報の漏洩によって生じた損害額を立証する必要があります。ただ、損害額の立証は、困難なケースがほとんどですので、秘密保持契約を締結すれば安全というわけではないことには注意しましょう。, 何を契約しているものなのかが端的に分かるタイトルを記載します。単純に「秘密保持契約書」でも構いません。また、具体的な契約内容を盛り込んで、「秘密保持契約書(●●●契約に関して)」と記載してもいいでしょう。, 秘密保持契約を交わす目的を記載します。例えば、「新規取引検討にかかる各種情報の授受のため」「業務委託の可否を検討するため」などの記載になります。目的を明確にしておくことで、秘密情報の目的外での利用禁止にもつながります。, 相手方にもらされては困る、秘密情報の定義について記載します。どういったものを秘密情報とするのか、その範囲を定義しましょう。ここで定義した秘密情報以外の情報については、自社で秘密情報だと考えていても、相手方が漏洩した際に契約違反は問えません。秘密情報として保護されるためには、「マル秘」などの秘密指定の表示が必要か否かがよく問題となります。, 秘密情報の、目的外使用の禁止という規定を記載します。「目的外での使用を禁止する」との一文がないと、相手方が秘密情報を流用して製品やサービスを作ってしまった場合、責任を問うことができなくなります。, コピーの制限について記載します。秘密情報が含まれている資料について、「コピーを認める(あるいは、認めない)」の一文を入れましょう。, 秘密保持義務について記載します。秘密情報を受け取った側が、「どういった内容の義務を負うのか」を明確にしましょう。, 秘密情報の返還・廃棄について記載します。秘密情報が記載された資料について、契約が終了した際に返還するあるいは廃棄するという内容の文章を入れましょう。これは、契約期間終了後、相手方に秘密情報が残っていると、漏洩や不正利用のリスクが残るためです。, 「秘密保持契約書を締結しても、以後の取引を開始する義務はない」など、義務にされたら困ることを記載しておくこともあります。, 「秘密情報を開示する側が、秘密情報を開示できる権利を持っている」ということを保証させる文章を記載しておくこともあります。, 秘密情報の中には、知的財産権に関する情報が含まれていることもあります。情報提供によって、知的財産権を相手方に移譲するわけではないという一文を念のため記載することもあります。, 秘密情報が漏洩したか、その疑いがある場合に、「状況報告を求める権利、調査をさせる権利、再発防止措置策を請求できる権利を開示者に認める」という内容の文章を記載することもあります。, 「秘密保持契約書の締結により得た権利・義務を、相手方の許諾を得ず勝手に第三者に譲ることはできない」という内容の文章を記載することもあります。, 「秘密情報が漏洩したときには相手方に対して賠償請求できる」という内容の文章を記載しておきましょう。併せて相手方に対し、「秘密情報の使用差止を請求できる」という内容の文章を記載しておきます。, 秘密保持契約書の「有効期間」と、「契約終了後も一部の契約条項の効果を持続させることができる」という「残存条項」を記載しておく必要があります。, 国際取引の場合、準拠法を記載することで、どこの国の法律が適用されるかを明確にしておく必要があります。, 裁判所の管轄を記載しておきます。東京にある会社であれば、東京簡易裁判所あるいは東京地方裁判所を管轄裁判所とする例が多いです。, 秘密保持契約を締結した年月日を記入します。契約当事者それぞれの氏名の記載と押印とともに、所在地も記載します。, 秘密保持契約書には、署名または記名押印が必要です。現在の契約書はデータで作成することがほとんどですので、所在地とともに署名までプリンターで印字し、押印する形でも構いません。, 押印に使うハンコは、締結する契約の重要性によって異なってきます。重要な契約では実印が使用され、印鑑証明書の添付が求められます。後日、秘密保持契約の締結の有無が問題になった場合の立証力は変わってきますが、重要性に乏しいものであれば、認め印でも構いません。当該秘密保持契約を締結する担当者に権限がありさえすれば、担当者のサインだけで済ますケースもあります。, 秘密保持契約書が複数枚になることがあります。その際には、「割印」と「契印」といった方法で、契約書の内容を証明し、改ざんを防ぎます。割印は、2通以上の独立した秘密保持契約書を作成するとき、その文書が関連していることを証明するための方法です。原本と写し、あるいは自社と契約相手といったようなケースが想定されます。割印は、ずらして重ね合わせた秘密保持契約書に、またがるように押印します。, 契印は、秘密保持契約書自体が2枚以上になるときに、契約書のつなぎ目や綴じ目に押印する方法です。末尾あるいは冒頭だけに押印すると、契約相手に押印したページ以外を差し替えられて、偽造される可能性もあります。そのため、秘密保持契約書が複数枚になったときは、ページにまたがるように、見開きページに対して押印していきます。ただし、見開きごとに押印するのは手間がかかりますので、契約書の片側をテープで止める袋とじ製本をする方法があります。袋とじ製本にして、製本テープと契約書にまたがった箇所に押印すれば、一箇所の契印で済むようになります。, 秘密保持契約書を作成後、契約相手に郵送で、署名と捺印を依頼する場合があります。その際には、郵便の種別を「簡易書留」などにして配達記録を残しておきましょう。普通郵便で郵送した場合、確実に届いたかどうかの証拠が残りません。しかも、秘密情報を記載した郵便をポストから盗難される可能性もあります。その点、簡易書留や配達記録郵便にしておけば、郵送相手に手渡しで届けてくれますし、配達状況をインターネット上で確認できたり、配達した事実を証明してくれたりするので安心です。また、秘密保持契約書は、相手と自身の双方が保持するものですので、相手方が1名(1社)であれば、2通の契約書を郵送し、署名捺印してもらった1通の契約書を返送してもらう必要があります。その返送用の封筒も同封して郵送することもマナーとなっています。その封筒には、返信用切手を貼付することも忘れないようにしましょう。, 契約書の中には、収入印紙を貼付することが義務付けられている課税文書がありますが、秘密保持契約書については、課税文書とはされておりませんので、収入印紙の貼り付けは不要です。, 秘密保持契約の締結は、相手方による情報の漏洩や不正利用を防ぐために必要なものです。契約内容を細かくチェックした上で、有益な契約となるよう心掛けましょう。, 山口県出身。京都大学法学部、NYU School of Law(LL.M.)卒。スタートアップ企業の法務・知財戦略支援、ベンチャー投資、IPO・M&AによるExit支援など、多くのベンチャー関連業務に携わる。, 三井住友ビジネスカード for Owners法人カード新規入会キャンペーン! 実施中最大20,000円プレゼント!, 法人カード・ビジネスカードの名義は個人名?会社名?法人カードを社員が持つ場合の名義はどうなる?, 3分でわかる! 個人事業主の法人カード・ビジネスカードの選び方と持つべき理由とは?.